労働基準法23
《平成27年 問01‐D》
強制労働を禁止する労働基準法第5条の構成要件に該当する行為が、同時に刑法の暴
行罪、脅迫罪又は監禁罪の構成要件にも該当する場合があるが、労働基準法第5条違反
と暴行罪等とは、法条競合の関係(吸収関係)にあると解される。
《平成27年 問01‐D》 解 答 <正>
本問のとおりである(法5条、労働基準法コンメンタール上92頁)。
例えば、暴行を加えて強制的に労働させた場合、法5条違反が成立するのみならず刑法の暴行罪も成立する場合がある。このとき、法5条違反の罰則を科し、かつ、暴行罪を犯したことによる刑も同時に科せられるか、という問題が起きる(法条競合)が、これについては、暴行罪の罪は法5条違反の罪に吸収されている(吸収関係)と解されており、法5条違反の罪のみが成立し、暴行罪の罪は成立する余地はないものと解されている。
労働基準法21
《平成29年 問05‐エ》
労働者(従業員)が「公職に就任することが会社業務の逐行を著しく阻害する虞れのある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項〔当該会社の就業規則における従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の条項〕を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければならない。」とするのが、最高裁判所の判例である。
《平成29年 問05‐エ》 解 答 <正>
本問のとおりである(昭38.6.21最高裁第二小法廷判決十和田観光電鉄事件)。
なお、労働者が選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合、使用者はこれを拒むことはできないが、権利の行使や公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することは許される(法7条)。